羽田空港動物・植物検疫広報キャンペーン参加
2025. 1.24
春節を控え、この時期恒例となっている羽田空港検疫広報キャンペーンは空港第3ターミナル(出発ロビー)において実施されました。農林水産省からの要請に基づき例年(一社)日本養豚協会(JPPA)が近隣県に参加の声がけをしている。養豚生産者5名(群馬1,神奈川1.千葉3)関係機関千葉1.JPPA4に加え東京都産業労働局3名とが今回も参加が少なく、動物検疫所関係者13名が参加されました。以下JPPAから参加した担当者の報告を基に記します。
開催に際し、羽田空港國保直子支所長から「羽田空港は我が国2番目の国際空港であり、現在24カ国55都市から1日最大159便が到着し、観光地としての日本の人気の高さから、毎日世界各国から3万人前後の旅客が訪れている。この年末年始は10日間の休暇があったこともあり、ピークには3万5000人 /日の旅客の訪日があった。一方で、日本を取り巻く世界的な家畜衛生環境は厳しいものがあり、直近では韓国京畿道でのASF発生、ドイツでの水牛の口蹄疫の発生などがある。また、国内で国と地方公共団体、生産者が一丸となって戦っているCSF、鳥インフルエンザについても、多くの国々で発生している。これらの国から日々入国する旅客に対して、羽田空港支所の職員は24時間体制で旅客への口頭質問、探知犬による探知活動、改品検査等、水際防疫を行っている。
本キャンペーンは、1月29日から始まる春節期への対応として行うもので、特にアジア諸国との往来が増加するこの時期をとらえ、違法な畜産物および野菜や果物などの日本への持ち込みを未然に防ぐとともに、それぞれの母国から持ち出さないことも呼びかけることを目的としている。動・植物検疫所のみでなく、東京都産業局、日本養豚協会とも連携してキャンペーンを行うことで、国民の関心も高まると考えている」とご挨拶をいただきました。
羽田空港國保直子支所長
広報キャンペーン |
動物検疫所は我が国の畜産を守るため、国際線が離発着する空海港を主な業務拠点として日々、動物検疫を行っている。動物検疫所では、国民の皆様に我が国の動物検疫について「まず、知っていただく、そして身近な問題として感じていただく」こと、また自治体や畜産関係団体の皆様にはより一層ご理解、ご協力をいただけるよう、様々な機会やツールを利用し情報発信を行っています。また自治体や畜産関係団体の皆様にはより一層ご理解、ご協力をいただけるよう、様々な機会やツールを利用し情報発信を行っています。
家畜防疫官の推移
1989年度 | 1998年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
193 | 262 | 481 | 491 | 508 | 526 | 541 |
キャンペーンは植物検疫所と合同開催で実施。出国・到着各ロビーにて約20分ずつ、検疫所が作成したティッシュを旅客に配り、肉類の持ち込み禁止をPRした。3班に分かれ、それぞれチラシの入ったティッシュを旅客に配布した。出発ロビーは人出が多かったが、到着ロビーは昼の到着便が少なく、人もあまり多くはなかった。ティッシュ配布については、以前に比べ外国人に拒否されるケースが増えたように感じた。空港職員の方によれば、中国の方たちなど、空港の職員が近寄ると「何か調べられるのではないか」と警戒されることもあり、拒絶されるパターンも多いのではないかとのことだった。
検疫検査場内の見学の後、動物検疫所の方々との意見交換会
動物検疫所との意見交換(意見・質問・要望) |
意見交換
意見交換会は、農林水産省動物検疫所石川清康所長、JPPA衛生・疾病対策部会菅谷 知男部会長から挨拶の後、事前に提示された質問・要望事項を主体に意見交換をいたしました。終わりに際し生産者を代表し、更なる水際対策の強化をお願いいたしました。
【生産者からのメッセージ】
菅谷部会長
初めて空港キャンペーンに参加したときに、当時の所長に検疫の仕事は畜産振興にあると言われ、そういう考え方で防疫にあたっていただいているとその時に知った。動検の皆さんがやってくれていることの意味を、当時は理解していなかった。生産者は生産者だけで成り立っているのではなく、色々な人に支えられていると改めて理解した。今日、入国審査~検疫まで見学させていただいたが、皆さんとても熱心に、毅然と対応していただいていた。嫌な思いをしたり罵声をあびることも多いだろうと思うと、頭が下がる思い。しかし、検疫所は食を守る最前線であり、摘発をしていただくことで、国内の何千、何万の豚の命が救われている。これからも協力し合いながら、国内の養豚の振興にお力添えをいただきたい。
岡部副会長
羽田空港の防疫キャンペーンに参加するのは今回で3回目だが、来るたびに、皆さんのおかげで海外悪性伝染病の侵入を防げていることを実感する。現在、国内ではCSFの被害が散発的に続いており、昨日も群馬での発生があったところ。こうした状況で、もしASFが国内に侵入したら、日本の養豚は大きな打撃を受けることになるだろう。国産豚肉の安定供給という生産者の使命、また食糧安保の観点からも非常に重要な問題である。現在、インバウンドの復活で、非常に多くの外国人が来日しているが、その分、疾病侵入のリスクは高まっている。こうしたなかでASF侵入を防ぐためには、検疫所の皆さんのお力添えが不可欠。今後とも互いの理解を深めて協力体制を作っていきたい。