羽田空港国際線での動物検疫広報キャンペーン

美味しい豚肉を生産するために病気は入れない・水際対策

 2022.6.10

通常は、2月の中国春節時期に開催されていましたが、コロナ感染拡大の状況緩和から、訪日外国人観光客の受け入れ再開に合わせ、動物検疫所から広報キャンペーンタイアップの依頼が(一社)日本養豚協会に届きました。開催がこの時期となったのは、政府が6月10日から訪日外国人旅行者の受け入れ再開としたためで、受入再開空港は5カ所(成田・羽田・中部・関西・福岡)となっています。依頼が急であったことから、関東から参加者を募り6月10日(金)午前8過ぎに羽田空港第3ターミナル出発ロビー案内カウンターに集合した。参加者はJPPA関係者10名(群馬1.茨城1,神奈川1,千葉4,JPPA3)に加え各種メディア、東京都畜産労働局関係者3,動物検疫所羽田空港支所長他4の総勢18名により、検疫所作成のビラ(肉製品持ち込み禁止)の配布と検疫所見学・意見交換を実施した。

羽田空港向井所長から挨拶

8時30分に動物検疫所羽田空港支所向井所長から挨拶。三上次長から注意事項の説明があり、JPPAが持参した半被を着用し、空港で用意した場内立入証、タスキをつけ準備完了。

中央インホメーション付近でイメージキャラクターを加え記念撮影の後、約30分3~4名のグループによりチラシ配布を行った。

出発ロビーでは、日本に戻る際の持ち込み禁止畜産物の注意喚起。到着ロビーでは、持ち込み禁止畜産物についてチラシやテッシュを配布しながら声掛けを行なった。

主催者から説明を受ける参加者

第1回目のチラシ配布を終え、空港検疫所内を見学(防疫体制:入国時の靴底消毒、手荷物検査など)及び意見交換と要望書の提出を行った。終了後、第2回目のチラシ配布は、2階到着ロビーで2手に分かれ税関検査場から到着ロビーに出てくる入国者へ広報物を配布し約30分程度で作業を終了した。

インバウンドへの注意喚起

空港における水際対策の内容説明と探知犬「きずな号」による模擬探知を見学。

検疫対策では、靴底消毒マットの消毒面積拡大、探知犬の増頭、探知犬が反応した鞄に電子タグ装置による見逃し防止対策、関税申告書の表面に肉製品持ち込み禁止項目を追加(麻薬や銃砲爆発物の次に肉製品が記載)などを確認しました。

イメージキャラクター「クン君」

家畜伝染病予防法改正により強化された水際検疫

平成30年8月に中国でのアフリカ豚熱(ASF)発生以降、アジアにおいて,17ヶ国・地域に発生が拡大。中国・ベトナム等から日本に持ち込まれた肉製品から、ASFウイルスの遺伝子を検出。ASFの我が国への侵入脅威が高まっているため、水際対策を強化し、家畜伝染病の侵入防止を徹底する必要。

  • 法改正による強化(令和2年7月1日施行)
  • 質問・検査権限:入国者の携帯品中の畜産物(肉製品等)の有無を、家畜防疫官が質問・検査できるよう措置。【法第40条第5項】
  • 廃棄権限:携帯品及び国際郵便物検査の結果、発見された違反畜産物について、家畜防疫官が廃棄できるよう措置。【法第46条第4項】
  • 厳罰化:輸入検査に関する罰則を強化(近隣諸国と比較しても最高水準)

輸入検査を受けない場合の罰金100万円【法第63条及び第69条】

⇒ 300万円(個人)、5,000万円(法人)

空港内に流れる「肉製品持ち込み禁止の表示」

アフリカ豚熱(ASF)対策の強化
  • 相手国から持ってこさせない

❒ 中国、ベトナム、韓国国内のSNS、現地メディア、旅行代理店等を通じた注意喚起

❒ 多言語動画の配信・・・動物検疫に関する動画をYouTubeで配信

(日本語、英語、中国語、ベトナム語、タガログ語、韓国語)

❒ 空港会社等への情報提供ポスター掲示・機内アナウンスの依頼

日本向け直行便で機内アンナウンスを実施(中国便・韓国便は全便数の内9割)

★一部空港会社においては、現地空港カウンターでポスターを掲示

★宅配会社にポスターやリフレットを送付するとともに各社HPへの掲載を依頼

❒ 広報ポスターの掲示

★全国の空港や港などに多言語ポスター約1,000枚掲示

❒ 広報キャンペーン、報道機関を通じた注意喚起

★日本養豚協会(JPPA)と連携したキャンペーンを実施

❒ 在外公館を通じた、訪日外国人への注意喚起(査証発給時のリフレットによる知らせ

❒ 関係機関を通じて、外国人技能実習生に動物検疫制度を周知

  • 日本に入れさせない

❒ 動植物検疫探知犬の増頭(追加措置し、140頭体制に強化・・・2021年3月時点)

❒ 畜産物の違法な持ち込みに対する対応の厳格化(2019年4月22日~   )

★個人消費用やお土産であっても、警察への通報又は告発の対象として警告書を交付

(2019年4月22日~2022年3月31日の間に1,860枚を交付)

★違反者情報をデーターベース化し、関係省庁と連携して対応(逮捕事例あり)
❒ 高リスク便に対する携帯品検査の重点実施

★検疫探知犬による探知や家畜防疫官による口頭質問を重点に実施

★税関と連携した検査を実施

❒ アフリカ豚熱発生国からの豚由来畜産物の検査強化

★2022年3月31日現在、携帯品畜産物(生に近くリスクの高い物)638件をPCR

検査、104件からアフリカ豚熱ウイルス遺伝子を検出(うち4件からアフリカ豚熱ウ

イルスを分離

 国際郵便物の検査を強化・・・検疫探知犬の活用を拡大

★各空海港における靴底消毒及び車両消毒の徹底

★船舶・航空機の食品残差の適切な処理について事業者への確認・指導を継続的に実施

.農場に入れさせない

❒ 野生イノシシ対策を見据えたごみ対策の協力依頼

★環境省及び国交省を通じて、野生動物がいるような公園でのごみ対策の協力依頼を自

治体、関係部局等に通知

★食品原料に由来する飼料の加熱について都道府県や生産者団体等を通じて農家に徹底

また、別室で意見交換会を実施し、意見交換の後に、JPPA塩澤副会長から要望書を提出しました。キャンペーン当日は、受け入れ再開が始まったばかりで空港内の人は少なかったが、今後成田空港でも注意喚起のキャンペーンの要請があれば協力していきたい。

 JPPA塩澤副会長から水際対策の要望書が向井所長に提出された

≪意見交換会の中での質問に対する回答≫

質問1

韓国からの車両消毒の対応について

トレーラーが船で来ているが消毒がどのようにされているのか。その場合、靴底消毒や荷物のチェックは行っているのか。

回答:関係する港は、下関、博多、大阪。

畜産関係車両については、動物検疫所がタイヤの噴霧消毒を行っています。

空港での対応と同様に、靴底消毒及び手荷物検査を実施しています。

質問2

以前は消毒していないとの事だが、今の対応について

韓国は2019年にASFが発生しているが、どのような強化をしているのか。

回答:空港での対応と同様に、旅客に対し、肉製品等の所持の有無や畜産関連施設への立ち入り等について口頭質問を行っています。動植物探知犬は必要に応じ出動させています。

キャンペーン実施前の記念撮影