令和3年度関東養豚協議会・豚熱対策緊急会議開催

2021.12.16

野性イノシシにおける感染域の拡大と、地域内での感染濃度の高まりに伴い、ワクチン接種下での発生が続いている。これら家畜伝染病の発生に伴う殺処分は、発生農家のみならず、地域社会及び地方行政にも大きなダメージを与えている。特に豚熱対策においては、野生イノシシへのウイルスという最悪のシナリオで感染が始まり、ワクチン再開という厳しい選択をしながら、出口が見えない。このような状況にありながら、コロナ感染の影響もあり、対策協議の会議を持つことができない状況が続いていたが、年末の多忙の時期ではあったが急遽関東養豚協議会開催を呼びかけ開催の運びとなった。今年度山梨県が幹事県であったが、呼び掛けた手前、千葉県(ナイスポークチバ推進協議会雅)が臨時幹事県として対応し、会場は、JPPAが普段利用している東京市ヶ谷所在の「AP市ヶ谷」において、栃木県を除く7県から25名、来賓として(一社)日本養豚協会から3名計28名が出席し開催した。

開催に際し、青柳ナイスポーク会長、来賓として小礒JPPA専務から挨拶の後、協議課題として取り上げた

3項目について各県からの意見を踏まえ、要請内容を詰める作業に入った・

 ≪ 課題に対する各県から出された対応・要請 ≫

(1)野生イノシシ対策について

★徹底的な駆除・撲滅と経口ワクチンの効果的散布。柵・ネット設置が十分でなく整備に対する補助継続を要望(神奈川県)
★猟友会へ更なる捕獲要請。補助事業で柵及びネットの整備強化(埼玉県)
★経口ワクチンの県内全域への散布(栃木県)
★イノシシ捕獲予算の増額。(長野県)
★猟友会に対し捕獲推進を求めている。
捕獲イノシシの対応については、猟友会、県、市町村がそれぞれ役割分担による対応を求める。
 経口ワクチン散布については散布後の対応が問題で散布はされていない(千葉県)

 (2)より効果を高めるワクチン接種(方法)について

★概ね1~2週間おきに家保が農場を訪問し、約30~50日で接種を実施。
  家保が農場毎に抗体検査を行い、接種日齢を検討している。豚熱ワクチン接種の適期解明。
子豚へのワクチン2回接種の早期実施希望。農場主や農場職員が接種できる制度希望(神奈川県)
★家保の指導の基、計画的にワクチン接種実施(埼玉県)
★接種は月1回程度の実施であるが、月3回程度に増加計画。免疫付与状況確認検査(豚熱抗体検査)の実施(栃木県)
★摂取時期を40~50日に変更。農場ごとの母豚の免疫付与状況から50~60日齢より早い日齢でのワクチン接種を検討していく(長野県)
★知事認定獣医師制度による接種が始まってはいるが、家保の労力軽減にはなっていない。
現状ワクチン接種は月1回、多くとも2回程度であることから毎週ワクチン接種できる体制を求めている。
獣医師の確保。農場ごとの移行抗体チェックによる接種指導要望。
 2回接種を要望に加え、獣医師の確保が難しい状況であれば、獣医師の指導により生産者自ら接種を認めるよう要請(千葉県)

(3)殺処分に伴う(埋却・焼却・レンダ)について

★埋却地もしくはレンダリング候補地は、農場ごとに、県や市町村と検討中。
 埋却地やレンダリング設置場所については県から農家自ら確保を指導されているが難しい状況から、県・市町村と検討している。
県内で豚熱が発生した際は、農場主・県でレンダリング設置場所を確保し、生成物の焼却場所は県が確保した。
埋却地は国有地・県有地の優先使用を検討するよう要請(神奈川県)
★処置方法は基本的には埋却で行う。埋却地は確保済み(埼玉県)
★養豚農家自身で埋却地確保は厳しい(栃木県)
★埋却を基本としているが、困難となった場合は移動式レンダリング装置活用から、生成物の処分先を現在調整している(長野県)
★レンダリング装置の活用要請・焼却場所の確保未定(千葉県)

◎関東養豚協議会での要請内容の決議

1.ワクチン接種・方法の対応

 1)地域によっては、抗体価が不安定な状況にあることから、薬事法に基づく用法、用量の改正によりワクチン2回接種の実施を認めること。
 2)豚熱ワクチンの空白期間をなくすため家畜防疫員、知事認定獣医師による週1回のワクチン接種ができる体制を構築すること。
 3)ワクチン接種適期を把握するため、免疫付与状況検査体制の強化と実施した検査結果を開示すること。

 

2.野生イノシシ対策

 1)野生イノシシの徹底的な駆除・撲滅を官民あげて推進すること。
 2)経口ワクチンの、より効果的な継続散布を実施すること。
 3)国産経口ワクチンの早期開発をすること。

 

3.殺処分に伴う処置対応

 1)埋却地の確保を基本としているが、埋却地確保が困難となった場合に備え、移動式レンダリング装置の設置と活用に向けた対応を図ること。

この決議を受け、関東養豚協議会として要請文案を作成し、各県からの最終意見を踏ま

  え最終要請書として決定することとした。

 会議を終え出席者全員による記念撮影