発足と経緯
協議会の発足は平成11年5月20日です。
チェックオフ活動は、生産者が自から資金を出し合い活動するもので、米国、ヨーロッパでは既に歴史のある活動として大きな成果を上げています。
日本で本格的に活動の必要性が叫ばれてきたのはここ15~16年であろうか。(株)埼玉種畜牧場の生みの親である笹崎龍雄氏が昭和40年代頃、全国を巡る講演の中で、肉豚1頭10円供出による生産者の活動の必要性を強く語られた事が思い出される。まさにチェックオフの事であった。
今思うと、その当時これがスタートしていれば、今の養豚生産者及びそれを守る組織も大きく変わっていた事だろう。
千葉県におけるナイスポークチバ推進協議会の立ち上げには約6年の歳月を要した。立ち上げに向けた検討の際、活動目的とした消費拡大及び政策要請活動を大きな柱として計画したものの、参加しても・参加しなくとも共通のメリットが与えられる事から、損得に対する生産者の基本的なスタンスの違いが大きな障害となった。
本格的な組織作りは、若手後継者が組織立ち上げ委員として地域から推薦され、これらの委員の前向きな取り組みが功を奏して発足にこぎつけることが出来た。
スタート時の三役3名の姓名が全て平野で決まり、これまた幸先よいスタートを切る要因ともなった。
ナイスポークチバ推進協議会の名前の由来?
組織のネーミングについては、生産者及市町村生産者組織事務局担当者から名前を募集した。30の応募の中から当時千葉市農政センタ―で地域畜産行政担当者であった神保尚史氏が応募した名前が委員によって決定された。
養豚生産者は消費者に美味しい豚肉を食べて頂くために常に努力しています。新鮮・安心・おいしい三拍子揃った豚肉=ナイスポークとのコメントを神保氏から頂きました。時代にマッチしたネーミングと好評です。
最近の活動
新型コロナウイルス感染症は、ワクチンの接種などにより、ようやく終息に向かいつつあります。我が国でも感染症法上の位置づけが従来型インフルエンザ並みへと分類が変更され、経済活動の急速な回復が期待されます。しかしながら、昨年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は未だ解決の見通しが立たず、世界的な穀物価格や原油等資材価格の高騰が継続しています。
特に昨年度は、急速な為替の円安もあり、配合飼料価格がトン当たり10万円を超える史上最高値を付け、その後やや価格低下傾向にあるとはいえ、本年4月以降も依然として高値水準にあります。この事態を受け、当協議会では、中央生産者組織(JPPA)と連携し、生産者負担が増えない形での支援策の実施を要請してまいりました。
これに対して政府は、9期連続での配合飼料価格安定基金制度による補填金の支給と、数度にわたる異常基金への補填金財源の積み増しを繰り返すととともに2022年度の第3四半期及び第4四半期においては、基金制度を支えるため全額国費による配合飼料価格高騰緊急特別対策を実施し、また、2023年度には基金制度の発動基準に特例を設け、穀物価格の高止まりでも補填金が出やすくする措置を講じました。加えて自家配合飼料の製造利用に取り組む生産者に対して、調達経費の軽減支援を初めて実施する「低コスト配合飼料自家製造推進緊急対策」を2023年度事業として決定しました。
一方、2018年9月に国内で26年ぶりに発生した豚熱は、2019年10月からワクチン接種開始にもかかわらず、野生イノシシの浸潤も進み、ワクチン接種推奨地域は、北は青森県から南は山口県までの本州全土と四国まで広がっています。
2021年4月からは改正家畜伝染病予防法に基づく飼養衛生管理基準が完全実施され、養豚生産は懸命な飼養衛生管理水準の向上に努めているところであります。
特に、2022年10月に母豚の抗体価を基本としたワクチン追加接種の効率化、また12月には、飼養衛生管理者による豚熱ワクチン接種を認める通知が農水省より発出され、適時的確な豚熱ワクチン接種体制が整いつつあり、飼養豚での豚熱発生は散発的な状況が抑えられています。
さて、千葉県における豚肉生産は、県北東部(北総)に集中しています。
この地域は、気候が温暖で飼料工場(鹿島)も近く、また大消費地東京の近場として立地の好条件が整っていることから実に千葉県の80%の農場がここ集まる密集地帯となっています。しかしながら、2021年の養豚算出額は全国第3位から5位と順位を落としており、その大きな要因として慢性疾病による事故率の高さが指摘されています。密集地帯だけに疾病が広がりやすく、抜けにくいこともあり地域ぐるみでの疾病対策と、経営内容知り、改善を図るためのベンチマーク推進を2023年度事業計画に掲げました。
更には、欧州やアジア近隣諸国で発生しているアフリカ豚熱(ASF)の脅威に加え、口蹄疫発生が韓国で確認されました。
新型コロナウイルス感染症の落ち着きとともに海外からの入国者が急増する中で、ウイルス侵入リスクは再び高まっていることから、我が国の水際(空港・港湾等)対策と地域及び農場防疫の一層の強化が必要と考え取り組んでまいります。
加えて、生産者にとって生産した生産物が再生産できる価格で消費されるよう、
国産豚肉の美味しさ、その必要性を消費者に広く理解を得るための活動が不可欠であることから全国チェックオフ運動(法制化)の再検討要請を進めてまいります。
いま、難問山積の豚肉生産現場ですが、国産豚肉自給率50%を維持できるよう頑張ってまいりますので、ご理解、ご支援、ご協力、よろしくお願いいたします。
会長 青柳 耕一