令和4年度(一社)日本養豚協会通常総会盛大に開催
2022.6.23
和4年度通常総会は都内港区芝公園・東京プリンスホテルにおい生産者、賛助会員、ご来賓合わせて200名が参加し開催された。コロナ感染拡大により、対面での開催は3年ぶりとなり、総会終了後の懇親会も併設された。
事務局から総会成立の報告の後、塩澤英一副会長の司会進行により開会。栗木筆頭副会長から開会の言葉、香川 雅彦会長から挨拶、来賓として自民党養豚農業振興議連副会長 坂本 哲志衆議院議員、農林水産省伏見 啓治大臣官房審議官から挨拶があり、他ご来賓を紹介しました。
総会の冒頭、香川会長から「ご来賓の先生方におかれては、参議院選挙が公示され、多忙な時期に御出席を賜り深く感謝申し上げます。会長を受け2期目を終えることができ、これも多くの会員の皆様の協力によるものと感謝を申上げます。この2年を振り返えると、活動の7~8割が、豚熱関連の要請や要望に費やされたと思います。ワクチンが打てるようになったが、打ち手の問題、抗体の窓を小さくするための2回接種、抗体検査による適時適期での接種、ワクチン費用の問題などが次から次へと、ワクチン接種を開始すれば当然出てくるだろうとは思っていたもののそれぞれ実現していくには難しく地域偏在も大きな問題であることを実感しました。
このような中で唯一、都道府県知事が民間等の獣医師にも豚熱ワクチンの接種を認める、知事認定獣医師制度による接種が認められたことは一歩前進であったと思います。このことは、各県地域の生産者がそれぞれの知事に要請するとともに、当協会も中央で一緒になって自民党養豚議連に対し要請をしたことが大きな成果であったと感じています。豚熱対策については、地方自治事務の役割が大きく、国への要請だけでは進みづらいとつくづく感じました。
ASF の脅威が近隣国まで迫っており、地方と当会が足並みを揃えて取り組める体制づくりが益々重要であると強く思っています。各県の理事の役割と責任も大きくなります。
例えば、関東養豚協議会のように年二回の各県代表者会議を開催する等、他ブロックにおいても理事がいない県の代表者も集めて年数回の会議を計画し、意見交換や情報共有を図り、共通の認識を持てる体制づくりを推進していきたいと思います。
本年5 月より、情報の共有を強化するためにスマホアプリの導入を決め運用を始めています。会員の皆さまは、できるだけ早く登録して頂けるようお願いし、JPPA 通信は、8月を目途に廃止していく意向です。
また懸案であった豚枝肉格付規格の見直しが決まり来年の1 月から適用されます。
6年越しの要望がやっと実現となり、日本食肉格付協会を始め関係の皆様のご尽力に心より感謝申し上げる次第です。
今後の問題として、避けて通れないアニマルウェルフェアがあります。昨年、YouTube 映像や大手鶏卵業者による贈賄疑惑があり、大きくクローズアップされました。我々養豚業界も農水省の畜産振興課と足並みをそろえるため、協会内にアニマルウェルフェア推進委員会を立上げ、今後、協議検討してまいります。
最後にチェックオフ活動については、執行部でも意見が出しにくい業界の環境になってきている。生産資材の高騰と円安のダブルパンチに見舞われ、当会の会費収入も危惧しているなかチェックオフ拠出金の話は出しにくい状況ではありますが、引き続き推進をしていく所存であります。
飼料価格高騰では政府の緊急対策等により、配合飼料価格安定基金への助成等の当面の手当はしていただきましたが、今後、他の畜種生産者団体と情報交換等を図りつつ、要請活動を進めてまいりますので、関係機関のご指導と引き続き、会員の皆様のご支援・ご協力を心よりお願い申し上げます」と挨拶された。
ご来賓挨拶
自由民主党養豚農業振興議員連盟副会長 坂本 哲志衆議員議員
農林水産省 伏見 啓治大臣官房審議官
総会審議議案の協議に入った。議長に高橋 誠会員(岩手県)を選出した。
司会 塩澤副会長 議長に高橋 誠会員(岩手県)
第1号議案:2021年度事業報告及び収支決算報告に関する件
第2号議案:2022年度事業計画及び収支予算に関する件
第3号議案:2022年度会費の徴収に関する件
第4号議案:任期満了に伴う役員改選に関する件
各議案について事務局から説明があり,内容が審議され全議案は承認された。
第4号議案の役員三役の互選は別室にて審議され新三役が選出され報告された。
第10期一般社団法人日本養豚協会(JPPA)役員名簿
区 分 | 氏 名 | 選出ブロック(県名) | |
会 長 | 香川 雅彦 | 全国ブロック | |
会長代行 | 塩澤 英一 | 関東 | 千葉県 |
筆頭副会長 | 石川 輝芳 | 北海道・東北 | 宮城県 |
副会長 | 中岡 勝 | 北海道・東北 | 北海道 |
〃 | 岡部 康之 | 全国ブロック | |
〃 | 山口 昌興 | 関東 | 神奈川県 |
〃 | 山本 孝徳 | 北陸・東海・近畿 | 愛知県 |
〃 | 竹延 哲治 | 全国ブロック | |
〃 | 佐竹 宣昭 | 中国・四国 | 高知県 |
〃 | 福田 実 | 九州・沖縄 | 大分県 |
理 事 | 布施 久 | 北海道・東北 | 青森県 |
〃 | 橋本 晋栄 | 北海道・東北 | 岩手県 |
〃 | 丹尾 久剛 | 北海道・東北 | 秋田県 |
〃 | 木野内 理 | 北海道・東北 | 福島県 |
〃 | 櫻井 宣育 | 関東 | 茨城県 |
〃 | 田中 一広 | 関東 | 栃木県 |
〃 | 齊田 和則 | 関東 | 群馬県 |
〃 | 上原 章男 | 関東 | 埼玉県 |
〃 | 青柳 耕一 | 関東 | 千葉県 |
〃 | 川上 弾 | 関東 | 長野県 |
〃 | 齋藤 宰 | 北陸・東海・近畿 | 新潟県 |
〃 | 吉野 毅 | 北陸・東海・近畿 | 岐阜県 |
〃 | 小林 勝彦 | 北陸・東海・近畿 | 三重県 |
〃 | 武内日出男 | 中国・四国 | 愛媛県 |
〃 | 石渕 大和 | 九州・沖縄 | 熊本県 |
〃 | 長友 浩人 | 九州・沖縄 | 宮崎県 |
〃 | 宮地 善男 | 九州・沖縄 | 鹿児島県 |
〃 | 中村 昌昭 | 九州・沖縄 | 沖縄県 |
専務理事 | 櫻井 保 | 学識経験者 | |
監 事 | 上野 浩一 | 北海道・東北 | 山形県 |
〃 | 林 篤志 | 関東 | 群馬県 |
部会活動報告(各部会長から活動内容について報告)
部会名称 | 部会長
(担当副会長) |
中小経営部会 | 北見 則弘
(石川 輝芳) |
生産・経営部会 | 細川 拓也
(新村 嘉久) |
育種改良・登録部会 | 宝尺 実正
(塩澤 英一) |
流通・消費部会
|
櫻井 宣育
(福田 実) |
衛生部会 | 日高 省三
(中岡 勝) |
豚熱対策部会 | 山本 孝徳
(岡部 康之) |
青年部会
|
服部 清太
(佐竹 昭) |
≪記念講演≫
ウクライナ情勢を踏まえた世界の畜産飼料動向について
三井物産(株)食料本部 畜水産事業部 畜産事業室
瀧本 昌平 氏
1.世界の豚肉需給
2020年の世界の豚肉生産量は、約1億1,144万t。主要生産国は中国が最大。次いでEU、米国に占める輸出量の割合が高く中国を中心に輸出量を拡大。その他の国では経済成長に伴いブラジルやロシアの生産量が増加している。
- 中国
2018年夏に発生したASFにより2019年・20年度の生産量が激減。一方で消費を補うために2019年以降輸入量は増加。2021年以降は生産量も回復見込み。
- EU
生産量に占める輸出量の割合が高く、アメリカに次ぐ輸出量となっている。2021年以降も生産量・輸出量は減少見込み。
- 米国
生産量に占める輸出量の割合が高く、世界最大の輸出量となっている。 2021年以降生産量はほぼ横ばい見込み。
- ブラジル
生産量は右肩上がりで拡大、2021年度以降は微増見込。 2021年度以降の消費量の増加に伴い輸出量は減少見込み。
- カナダ
2011年度以降、生産量・消費量・輸出量はほぼ横ばい。2021年度以降も需給バランスは安定的に推移する見込み。
- 日本
消費量に占める輸入量の割合が高い。2020年度以降
2.米国の養豚マージン
①ロシアによるウクライナ侵攻以降、トウモロコシ価格が更に一段上昇
②人件費、燃料代、金利、土地代、飼料価格の高騰が養豚家の収益力が低下
③但し、穀物を大量に必要とする牛肉と比較すると、養豚は比較的優位性がある状況。
3.中国のトウモロコシ輸入量は増加
①国家備蓄在庫減の対応に伴い、2019年より輸入を急増させ世界一の取り扱い量へ
②ASFからの回復要因、台風対策等への対応のために輸入を拡大させつつある。
③国内で高騰する国産トウモロコシの価格抑制の狙いもある。
④中国の国内トウモロコシ政策が、グローバル飼料畜産に与える影響は大きい。
⑤22年3月1日GMO作物の商業栽培に向け種子法が改正。
4.中国のウクライナ産トウモロコシの依存度
中国にとってウクライナは最大のトウモロコシ供給者であり、その依存度は60%超。
ウクライナ:61,22% 米国:25.6% ミヤンマー:7.54%
5.小麦相場も反応
①ロシア・ウクライナの小麦作付は8~9月、収穫時期は翌7~8月となる。
②既に世界的な小麦需給に大きな影響を及ぼしているが、長期化が想定される。
③更に欧州・インド・パキスタンの天候不順も重なり、小麦価格は高値推移。
既に価格が高すぎて「買えない国」が出ているとの報道がある
6.配合飼料価格変動幅の推移(2007-2022予想)
①直近2年弱で約28,350円/㌧の上昇局面を経験する歴史的大相場の渦中
②4-6月期はトウモロコシ、大豆栢価格強く配合飼料価格は約4,350円/㌧上昇
③7-9月期もウクライナ情勢不安に伴い、11,000円/㌧を超える上げ幅も想定
④10-12月期は米国産新穀次第なるも、弱材料が見いだせない状況
⑤米国金融政策による利上げ、円安が進むと、140円台を想定しておくべき環境。
懇親会開催
総会、記念講演終了後、午後5時半過ぎから会場を移しての懇親会は、再任された香川会長、ご来賓として総会にご出席された自民党養豚農業振興議連坂本副会長から挨拶。懇親会にご出席をただいた宮腰前会長から乾杯のご発声により開会された。
前自民党養豚農業振興議連 宮腰 光寛会長
宮腰前会長を囲んで千葉県生産者・関係者
宮腰前会長を囲んで神奈川・茨城の生産者
竹延副会長と千葉県生産者
坂本副会長を囲んで養豚関係者による笑顔の一枚
2022年度の活躍を期するJPPA役員による決意表明