イベリコ豚の味の秘密 生ハムとコルクの深い関係

昨年暮れ、仕事の関係からイタリアンの店で忘年会、楽しい一時を過ごした。
その際、料理の一皿にイベリコ豚が出された。どんぐりを食べて育った高価なスペイン産の豚肉と聞いていたので良く味わって食べた。 さて、イベリコ豚は、若い女性に人気と一時新聞紙上でも騒がれた記憶がある。
実は、イベリコ豚とどんぐりの関係をテレビ番組(BS朝日:素敵な宇宙船・地球号)で知りえる機会を得たので紹介しよう。

最初にイベリコ豚について調べてみたので紹介しよう。

イベリコ豚(豚の一品種)

スペイン西部地方のみで飼育されるイベリア種というスペイン原産種の黒豚。
黒い脚と爪をもつ傾向があり、スペイン語では「黒足の豚」(patanegra)と表現される。最高級生ハムではイベリコ100%はなく、純血度75%を理想としている。
それは、イベリコ100%では脂肪が多くて赤身が少なく、成長に時間がかかる。
そこで、赤身肉の豊富なデュロック種を交配し、程良い量の脂身と霜降り状の厚い赤身を作り出し、最高級生ハムとして使用されるイベリコ豚が誕生する。

 

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1.特徴
肉が非常に赤く、脂が赤身に霜降りに入りやすく美味。
脂身はさらりとして甘味があり、融点は19度で、口に入れた瞬間に溶け出す。

脂身には餌であるドングリ由来の身体に良い、不飽和脂肪酸のオレイン酸を多く含む。

 

 

 

 

 

 

2.飼育方法(イベリコ豚の飼育は3段階に分けられる)

第1段階:哺乳期間(生後~2ヶ月まで)
母豚から哺乳により飼育される。

第2段階:予備飼育(離乳~体重が100Kg前後になるまで)
5~6ヘクタールの樫やコルク樫の森で天然穀物飼料、牧草、種子、草の根を自由に食べさせ太らせます。飼料はコントロールし余分に与えない。

第3段階:肥育期間(体重150~180㎏まで)
モンタネーラ(montanera)と呼ばれる放牧期間。
一般的には10月~翌年2月、3月まで続く。この間、イベリコ豚は自分でドングリ、牧草、球根植物、植物の根を食べる。6ヶ月で体重が90㎏以上増加。

コルク樫1本に約25~30kgのどんぐりの実をつける樹齢30~50年の樫の木が1頭あたり25~30本必要。木の密集度にもよるが、1頭あたり1~2.5ヘクタールの森が必要。
放牧中に運動することによって脂肪分がいわゆる霜降り状に付く。
この時期ドングリの木の根を掘り起こさないように鼻輪をつける。こうすることで土を掘ろうとすると鼻輪がずれて痛くなるため豚は土を掘らなくなる。

◎ランキング

モンタネーラ後の肉質や増体重によってイベリコ豚は次の3つにランク付けされる。

○ベジョータ(Bellota)
放牧期間前と比較して、50%以上の体重増があり、肉質がベジョータの基準をクリアしたもの。

○レセボ(Recebo)
肉質がベジョータの基準をクリアできなかったものや、体重増が50%未満であり、モンタネーラ後も引き続き自然餌を加えた人工飼料を与え、体重を増加させたもの。

○セボ(Cebo)
特別な飼育はせず穀物飼料だけで肥育されたもの。ピエンソ(Pienco)とも呼ばれる。

イベリコ豚は、黒豚で生後4ヶ月になると森に放牧され、森で1年半を過ごす。
放牧される場所はコルク樫の森で、このコルクが沢山のどんぐりの実をつける。
どんな木がどんぐりの実をつけるのか知らずにいた私も興味をそそられた。
どんぐりはスペイン語でベジョータと言うそうである。昔は、この実を煮込み料理や粉にして菓子を作ったそうである。
イベリコ豚は10月から3月にこのどんぐりを主体に餌を食べさせて飼育させるモンタネーラという飼育方法で育てた品質の良い豚が生ハムとして生産されている。

スペイン産生ハム:ハモン・セラーノとハモン・イベリコとは、
スペインのハムもイタリアタイプのハムと同様に燻煙しない「生ハム」である。
ワインとともにグルメの象徴的存在である。
冬は気温が低いが湿度は高く、春から夏にかけては気温が高いが、逆に湿度は低くなるスペインの山岳地帯の地中海性気候がハモン・セラーノのうまさを作る。
スペインでは生ハムを年間3,000万本以上生産しており、世界一の生ハム生産国である。生産している会社は1,000社以上もあり、安いものでも生ハム (腿部位)1本、日本円で約70,000円と高価、赤ワインやアンダルシア地方の辛口シェリー酒との相性は抜群とのことである。

 

●ハモン・セラーノ
スペイン産の世界的に有名な生ハムであり、ハブーコ村とトレべレス村のものが特に評価が高い。スペイン語でセラーノ(serrano)とは「山の、山地の」という意味で、ハモン・セラーノとは、「山で作られる生ハム」である。
原料はイベリコ豚以外の白豚の骨付きのもも肉を使う。
①豚のもも肉を天然の海塩だけで1ヶ月ほど漬け込む。
②塩抜きをした後、低温・高湿度の場所に1~2ヶ月放置し、表面にカビを生やす。このカビが腐敗の防止や特徴的な味を醸し出すのに重要な役割を担う。
③常温で熟成をする。最低9ヶ月の熟成で、重量は6.5㎏以上の品質条件がある。
普通は、後肢で作っているが前肢で作る生ハムはパレータ(paleta)という

 

●ハモン・イベリコ
「イベリコ種」の豚で作られた生ハムである。
スペイン最高級のハムとの評価でハモン・セラーノの3倍以上と高価。
主にスペイン南西部で生産され、ウェルバァ、エストレマドゥーラ、ギフェロが有名。
モンタネーラにより肥育され180㎏に達したイベリコ種の豚肉を使用する。
①骨付きのもも肉から余分な脂肪を取り除き、皮をvの字形にカットする。
②1週間前後海塩で塩漬を行う。
③洗浄後乾燥し、1年以上常温で熟成を行う。
④と畜から生ハムになるまで約30ヵ月かかる。
正しく熟成を施して作ったものはハモン・イベリコ・デ・ベジョータと呼ばれ最高級に分類される。
品質基準を満たすものは、スペイン政府公認の「原産地証明」が付く。
熟成期間が長いためスライスすると白い結晶が点在するが、これは肉中のアミノ酸の結晶である。 

さて、もう一つの興味は、どんぐりである。
ちなみに、イベリコ豚はどんぐりの実(果肉)だけを食べ、皮は残すそうである。
イベリコ豚とコルク樫の森は密接な関係、私達が日頃目にするあのワインのコルク を生産する樹の木の実(どんぐり)を食べる豚がイベリコ豚とは・・・・
コルク樫の木は地中海沿岸、特にスペイン、南フランス、イベリア半島に多く、乾燥に強く確り根を張り、山火事にも強く、樹の表面が焼け焦げても燃えにくい特徴がある。この樹の寿命は平均200年、樹齢500~600年の樹も珍しく無いとのことである。
このコルク樫は、察しの通リワインのボトルの栓として利用されているそのコルクを生産する樹である。

 

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コルクの生産は、昔からこの地域の特産で、コルク樫の樹皮のみを剥ぎ取り(羊の皮を剥ぐように)6ヵ 月太陽にさらしたものを、1時間煮沸する。
これは殺菌の効果と同時に細胞が膨張し弾力性がうまれ、これを乾燥し、型でくりぬいたものがコルク栓、コルク生産の約1/2はこのコルク栓として利用されるそうである。樹の皮を剥いでしまっては樹が枯れてしまうのではと心配してしまうが、皮を剥がれたその部分は、最初の2ヶ月ほどは赤い状態であるが徐々に、3年で茶色、8~10年でもとにもどるそうである。1回皮を剥くと、樹と環境を守るためその樹は9年間皮を剥くことはしないとのことである。

スペイン地中海沿岸のこの地域は年々乾燥化が進んでいるそうである。
ここ数年、地球温暖化の影響からか、2度の大きな干ばつにより、コルク樫の森も変化(森林破壊)、してきているとのことである。最近日本においても品質の高いワインが生産されるようになったときいている。

 

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さて最近、ワイン業界に変化が見られていることをご存知でしょうか。
「ワインは生き物」といわれ、温度、湿度、環境管理と非常に影響を受けやすい繊細な飲み物であることは良く知られている。
ワインの栓は「コルク」・・・これが定番でした。
栓をスムーズに開け、得意げになった思い出を持つ方も少なくないと思います。
      このワインの栓が、スクリュウキャップまたはガラス栓を利用するワインが増えてきていると言う。この原因の一つは、製品の中にコルク質の劣化によるワインの品質への悪影響がみられることと、使用後のリサイクルなどがあるようです。
これらの状況から、コルクの需要が落ち込み、コルク樫の森が伐採され、建築資材に向く木への植樹、地中海性季候を利用した米の作付けなどの水田へ転換しているとのことである。
現地では20年以内に、このコルクの森の1/4は無くなってしまうと危惧されている。コルクの需要によりこの森が保存され、イベリコ豚がある。
ワインがスクリュウキャップやガラスの栓・・・・
邪道ではと考える人も多いかもしれませんが、便利性を求める若い世代は、抵抗無く受け入れているとの新聞報道もあります。
昨年クリスマスで購入した2007産ボジョレーは正にスクリュウキャップ。
考えが古いのかも知れないが、ワインのイメージと美味しさが少し損なわれた気がしたものです。

地球上の土地は夫々自分の土地として、
人が所有しているかも知れない。
しかし、本来この土地は、地球から一時借りているもで、
使った後は、また元にして
地球に返すべきものではないだろうか。
現代人は地球に大きな借りを
つくりすぎでてはいないだろうか。

地元では、一部この森の保存運動が始まっているといいます。 このように番組では豚をとおして自然との共存を問いかけ、警鐘を鳴らしている。