CFSワクチン接種基本方針について協議
北関東3県(群馬・栃木・茨城)の知事を代表して、群馬県の山本一太知事が5日の定例会見で、安倍晋三首相に6日、CSF対策に関する要望書を手渡すことを明らかにした。
(1) 関東全域でのワクチン接種の実施
(2) 豚肉の流通価格対策の確保
(3) アジア各国で猛威を振るうASFへの検疫強化
江藤農水大臣 |
令和元年12月6日(金)江藤農林水産大臣は閣議後の記者会見で、家畜伝染病CSFの感染拡大のため接種を行っているワクチンについて、未発生地域でも使う可能性を示唆した。
関東地方を中心とした未発生の6府県が農林水産省に接種を要望している。
今月中に250万頭分のワクチンを新たに確保できる見通しとなり、近く判断する。
要望しているのは、茨城、栃木、千葉、神奈川、京都、奈良の計6府県。これまで昨年以降に感染が確認された地域で接種を進めてきたが、江藤大臣は「(未発生の)隣接県の不安な気持ちはよくわかる」と述べ、前向きな姿勢を示した。
農水大臣の発言を受け、CSFワクチン接種を希望する県での、接種可能性から、急遽県農林水産部畜産課によるCSFワクチン接種に係る事前打ち合わせが県文化会館小ホールで開催された。この会議の大きな目的は、関係者によるCSFワクチン接種に係る情報の共有であり、次の内容で協議された。
(1) 飼養豚へのCSF接種基本方針について
(2) CSF防疫指針の確認
(3) ワクチン接種に係る遵守事項
(4) ワクチン接種にあたってお願いしたい事項
(1) 飼養豚へのCSF接種基本方針について |
【 方 針 】
本県では、県中南部地域の丘陵地帯とその周辺地域を中心に野生イノシシが生息しているが、急速に県境付近にまで生息域が拡大しており、CSFに感染した野生イノシシを介して万一、本県へCSFウイルスの侵入を許した場合、野生イノシシでの感染が本県全域に広がることが想定される。
本県では、ほぼ全ての養豚場が野生イノシシの生息域あるいはその周辺に位置しており、野生イノシシの捕獲が行われていない地域においても生息が確認されているため、今後は更なる生息数の増加が懸念され、飼養衛生管理の徹底のみでは、CSFの感染リスクをゼロにすることは困難な状況である。
このため、接種命令の対象地域は県全域とするが、県境に位置する次の地域を優先的に接種する。
① 野田市、柏市、印西市、成田市、香取市、東庄町、銚子市、旭市
他の地域については、県境からの位置関係を踏まえて段階的に次の順で接種する。
② 東葛飾地域(船橋市、市川市)、印旛地域(佐倉市、八街市、富里市、白井市)
香取地域(多古町)
③ 千葉地域(千葉市、市原市、八千代市)及び山武地域(東金市、山武市、横芝光町)
④ 長生地域(茂原市、陸沢町)及び夷隅地域(勝浦市、いすみ市、大多喜町)
⑤ 君津地域(木更津市、君津市、富津市、袖ヶ浦市)及び安房地域(館山市、南房総市)
なお、種豚を非接種地域に販売している種豚場、及び試験研究のための豚を飼養している機関については、ワクチン接種除外農場として協議することとしたい。
【 接種の勧め方 】
国が示した接種期間内に、対象区域内(県内全域の豚飼養農場数397農場)について接種する。農場ワクチン接種を行う防疫員は、県内の家畜防疫員を基本とするが、接種の進捗状況により、県外の家畜防疫員に応援を要請する。
接種は、原則1農場につき1班で行う。
初回接種対象外の哺乳豚については、追加接種を随時行う。
【 家畜伝染病予防法7条に基づく表式 】
ワクチン接種豚については、接種豚の接種状況を正確に記録し、出荷の際には、スプレーで背部に「Ⅴ」を赤かピンク(蛍光色)のスプレーでマーキングし、接種豚であることが明確に判別できる」ようにする。なお、農場で普段実施するマーキングは、赤又はピンク(蛍光色)を避けるよう指導する。
【 出荷と畜場における交差汚染防止対策 】
他見の非接種地域のと畜場に出荷する場合は、当県が事前に相手県へ交差汚染防止対策等の実施状況及び出荷の同意について確認修了しなければ可能とならないことを、生産者及び関係者へ周知徹底する。
【 その他 】
肥育預託農場などが非接種地域から豚を導入する場合は、導入後、迅速に接種する。
その他接種にあたり、制限事項、実施義務事項等を説明会などで十分周知する。
ワクチン接種に当っての遵守事項と依頼事項 |
【遵守時効】
1.飼養頭数の事前届出
★ 接種農場は接種に先立ち飼養頭数、年間出荷計画等の事項を都道府県に提出
★ 変更が生じた場合はその都度届出
2.ワクチン接種豚の標識
★ ワクチン接種豚を農場から他の農場や、と畜場に移動する場合には法第7条に基づき標識する
3.ワクチン接種農場立入り車両等の消毒の徹底
★ ワクチン接種農場に立ち入った家畜運搬車両、飼料運搬車両、死亡畜回収車両、堆肥運搬車両等の畜産関係車両の消毒を徹底する
4.接種豚の記の整理
★ 接種農場は、ワクチン接種豚台帳を作成し、接種対象豚の全てについて、出生日、生産農場、導入日、出荷日、出荷先及びCSFワクチンの接種歴を記録する
5.導入豚の取扱い
★ 非接種導入豚は隔離し、直ちにワクチン接種し健康観察を行う
6.移動の管理
★ 接種農場からの① 生きた豚等 ② 精液・受精卵(区分管理されたものを除く)
③ 豚等の死体 ④ 豚等の排泄物等 ⑤ 敷料
⑥ 飼料、家畜飼養器具の移動は原則として接種区域内の農場等への移動・流通に限る
7.接種農場の監視
★ ワクチン接種豚は、抗体の上昇を確認するため接種後4週以降必要な検査を行う
★ 抗体の上昇が不十分な豚は、当該豚と同腹豚に追加接種を行う
8.接種農場におけると畜場、及び区域内の他の農場へ豚の移動の確認
★ 移動する全ての豚の臨床症状の確認
★ 異常が確認された場合は速やかに家保へ連絡し必要な検査を受ける
9.と畜における交差汚染防止対策
★ ワクチン接種豚と非接種豚双方が出荷されると畜場は交差汚染防止対策を行なう
10.豚等の移動時の衛生管理
① 車両消毒 ② 荷台の漏出防止 ③ 他の飼養場所等への立ち寄り禁止
④ 他の畜産関係車両との交差ルートを利用しない
⑤ 運搬後の車両・資材消毒 ⑥ 移動経過記録
【 依頼事項 】
1.飼養者及び関係者への遵守事項の周知 2.ワクチン接種時の補助員としての協力