群馬県で豚熱(CSF)ワクチン接種継続農場で感染確認
全国有数の養豚県、群馬県で飼養豚から豚熱(CSF)感染が確認された。ワクチン接種済農場としては全国初となるケースである。感染したのは、未接種豚の70日齢前後の子豚で、下痢の症状が治まるまで接種が見合されていた中で起きたという。母豚から移行したワクチンの効果は50日齢程度でなくなるとされ、今回の感染は「ワクチン空白期間」を突かれた形だ。
「ワクチンを接種している農場から感染豚が出るとは」生産者、関係者の衝撃は大きい。
この農場は一貫生産農場で、感染が判明した子豚もワクチンを接種した母豚から効果を引き続いで生まれてきたと見られる。今回のケースは母豚からのワクチン効果が消え、最初の接種期となる50日齢前後を迎えた9月上旬、農場から「子豚の下痢で調子が悪くワクチン接種を延期したいとの連絡により、接種担当の獣医師らも延期を受け入れていた。
50日齢~70日齢のこの20日間にワクチン効果に空白期間があったと見られる。
いつ、どのような経路で感染したのかも大きな問題であり、国の調査を待つしかない。
農水省は「ワクチンを接種しても十分な抗体が得られるのは統計上8割」さらに、「未接種の子豚が存在する時期は必ずある」とした上で、「接種したから安心だとは言い切れない」と強調。
特に群馬県のようなワクチン接種推奨地域は野生イノシシなどからの感染リスクを抱える。
「畜舎ごとの服や靴の交換や、機材の洗浄消毒などを含む飼養衛生管理基準の確認、遵守を徹底してほしい」と強く求めた。
CSFワクチン接種体制の見直しを求める 群群馬県養豚協会の岡部康之会長は「適切なタイミングでのワクチン接種ができるように 体制を見直してほしい」と話す。
生まれたばかりの子豚は、母豚の母乳を通して、ウイルスへの抗体を持っているが、 生後40日~70日ほどたつと抗体が少なくなってくるため、生後50程度を目安に
ワクチンを接種する。
ところが接種できるのは、県の一部の獣医師が家畜防疫員(家畜保健衛生所職員)に 限定されています。
農場数から比べると防疫員は少なく各農場を回ってくるのは月1回程度。 一部の子豚は抗体が少なくなってから接種を受けるまでの間に空白期間が生じる。
以前から「ワクチン接種体制には問題があると感じていた。適切なタイミングで 接種できるように民間の獣医師でも接種が可能とするなど体制を見直して欲しい」と話す。
「ワクチン接種していれば安心だと思っていたので、今回CSFの発生には驚き、 大きなショックを受けた。
何をすれば防げるのか生産者の間で不安が広がっている。
群群馬県は他県よりも高額なワクチン費用を支払っているので、 感染した原因をきちんと教えて欲しい」と話す。
≪NHKニュース 群馬 2020.10.1 ≫
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