成田国際空港防疫キャンペーンに参加
2022.8.10
農林水産省動物検疫所成田支所からの要請を受け、成田国際空港第1ターミナルにおいて、防疫のためのキャンペーンが実施された。同キャンペーンは海外から持ち込みが禁止されている畜産物(肉製品)の持込禁止の注意喚起であり、新型コロナウイルスによって規制されていた旅行者受入が6月より緩和され、入出国者が多くなる夏休み期間に開催されました。
参加者は16名(生産者及び事務局11、畜産協会2、県家畜保健衛生所2、JPPA1)が参加し、オリジナルTシャツを着用し海外からのウイルス侵入が生産者にとって深刻な問題になることなど、「肉製品持ち込み禁止」の声掛けを行ないました。また、ナイスポークマスコットキャラクターである「ナイス君」「ちぃばちゃん」が参加し活動を盛り上げました。
農水省動物検疫所の皆さんと参加者全員及び着ぐるみによる記念撮影
動物検疫の概要 |
「成田国際空港における動物検疫の概要」について説明があった。
○携帯品による輸入禁止品件数及び数量
年 | 件 数 (前年比) | 数 量(㎏) |
2017 | 94,522 | 119,113 |
2018 | 93,897(99.3) | 109,056 |
2019 | 109,928(117.0) | 69,124 |
2020 | 29,099(26.4) | 16,888 |
2021(推定値) | 18,740(推定値) | 12,978(推定値) |
○摘発上位国の状況
2020年 | 2021年(速報値) | ||||||
国名 | 件数 | 重量(㎏) | 国名 | 件数 | 重量(㎏) | ||
1 | 中国 | 9,701 | 5,125 | 1 | 中国 | 3,973 | 2,602 |
2 | タイ | 2,498 | 982 | 2 | アメリカ | 2,180 | 749 |
3 | フリピン | 1,891 | 1,677 | 3 | 韓国 | 1,860 | 2,043 |
4 | 韓国 | 1,733 | 1,195 | 4 | フリピン | 1,662 | 982 |
5 | 台湾 | 1,357 | 624 | 5 | ベトナム | 794 | 707 |
6 | ベトナム | 1,244 | 1,213 | 6 | タイ | 671 | 416 |
○郵便物で持ち込まれた違法畜産物の摘発状況
年 | 件 数 (前年比) | 数 量(㎏) |
2017 | 12,661 | 14,447 |
2018 | 11,650(92.1) | 13,170 |
2019 | 11,023(94.6) | 15,071 |
2020 | 30,685(278.3) | 47,918 |
2021(推定値) | 50,974(推定値) | 86,274(推定値) |
○摘発上位国の状況
2020年 | 2021年(速報値) | ||||||
国名 | 件数 | 重量(㎏) | 国名 | 件数 | 重量(㎏) | ||
1 | 中国 | 24,796 | 34,417 | 1 | 中国 | 43,004 | 65,732 |
2 | アメリカ | 1,738 | 722 | 2 | ベトナム | 3,392 | 16,493 |
3 | ベトナム | 1,634 | 10,168 | 3 | アメリカ | 1,228 | 549 |
4 | フランス | 301 | 176 | 4 | タイ | 542 | 679 |
5 | タイ | 288 | 308 | 5 | モンゴル | 497 | 389 |
6 | 韓国 | 203 | 435 | 6 | インドネシア | 327 | 707 |
鎌川 浩之 成田支所長
★摘発状況は、空港での件数が減少傾向にあるものの、郵便物で持ち込まれた違法畜産物の摘発状況が急激に増えている。このような状況の中で口蹄疫、アフリカ豚熱をはじめ越境性動物疾病の侵入防止のため職員一丸となって取り組んでいるとの状況説明があった。
検疫施設内の見学 |
動物検疫所の概要説明を受け、入国エリアで消毒マットの確認、手荷物受取エリアで探知犬の活動を見学しました。
消毒マットのような靴底消毒は豪州など他国では設置されておらず日本独自の防疫方法であると説明がありました。消毒マットには定期的に消毒液をしみこませ、周りにはふき取り用マットが設置されていました。探知犬見学では丁度ソウル便が到着しており、ソウル便の荷物から次々と探知犬が反応し、僅かな見学時間であったが十数名が検査場で荷物確認をしていました。なかには2回目であったため、更に厳しい注意勧告を受けた者もおりました(まだ罰金等できない)。
この日の午後から回収した禁止持込品を確認したところ、多くは植物(野菜・果物)系であり、肉類はドイツ産の大きなサラミ2本で、持込者は日本人とのことでした。
見学後、生産者と検疫に関する意見交換が行われ、動物検疫所からは「我々は畜産振興のために行っている。豚熱が国内で発生してから強化を進めており、今後も対策を更に強化し、目の届かい部分は他と連携をとって取り組んでいく。」と述べました。生産者からは、「米国や豪州では豚熱の侵入が防げている、豪州など例に厳しい対応をお願いしたい。空港以外の港での検疫強化」など検疫についての意見や検疫活動に対する感謝する意見が述べられました。意見交換後にナイスポークチバ推進協議会青柳会長より鎌川支所長へ要望書を提出し、さらなる防疫強化をお願いました。キャンペーン当日は旅行者受入緩和が始まった夏休みで、6・7月はコロナ前の3割程度であったが、夏休みに入り、明らかに人が増えているとのこと。旅行客が多い時期にこそキャンペーンの意味があることから、コロナ拡大状況下ではありましたが今回実施することを決断したとのことです。
今回の感想として、違法畜産物の持込は外国人だけではなく日本人も行っており、違法認識が薄いと感じました。水際で守られることが一番望ましいですが、まだまだ守り切ることは難しい面もあるため、農業実習生への注意喚起や農場防疫などの各農場での防疫意識の強化も重要と感じた。
意見交換会 |
Q:アメリカ、オーストラリアでは豚熱を防いでいるが、なぜ日本では防げないのか。
また、他国同様な強化が必要ではないか。
A:日本の探知犬は140頭で世界的に見ても多い頭数。今アジアでASFが瞬く間に広がったことから、関係省庁で力を入れている。特に豚熱が発生してから特に強化を行っている。オーストラリアやアメリカでは靴底消毒は行っておらず、日本の対策を各国の大使館が見学に来ている。他国に劣らないように今後も対応し、更に髙見を目指したい。
また、アジアはアメリカより日本が近いことで観光客も多いためより危険度が高いと思える。
Q:空港以外の港では対策はどうなっているか。
A:持ち込みができる港は決まっており、指定港では必ず対策をする。指定外の港では指定外調査として対策を行っている。目が届きにくいん部分もあるため、関係機関と連携をとり、何かあれば通報などをするように依頼している。
Q:韓国からフェリーがきており、その際に韓国の乗用車が一定期間は日本で走行ができるようだが、どのような対策を講じているか。
A:事前にチェックをして強化している。
Q:地方空港での取組はどうか。
A:探知犬の配置を地方空港まで拡大した。よって140頭まで増頭している。探知犬など抑止力となることを日々取り組みをしている。
Q:今後もさらに強化をお願いしたい。どのような強化をお願いしたらよいか。
A:こちらとしても相談しながら、今後も取り組んでいきたい。
Q:持込以外に、中国からは調整肉や飼料用藁が入っているが対策はできているか。
A:持込には国の定めた施設からの輸入としている。また、輸入時も人を配備するなど対応をおこなっており、今後も関係機関と共有していきたい。
Q:パスポート情報の管理としているがどのような管理か。
A:違法持ち込みを行った人のパスポートをスキャンして管理している。1回目は注意、2回目は注意勧告、3回目は更に重い勧告(刑事処罰対象も可)など厳格に対応している。また、悪質であればすぐに厳しく対応をする。
Q:外国人自習生への周知はどうか
A:団体や受入会社に周知をしている。ただ受入会社が多すぎるため、絞って対応している。ベトナムでは庭先養豚が多く、豚や野生イノシシに簡単に餌を与えていると聞いている。そのような情報含めて周知していく。また、生産者側も知ってもらいたい。
Q:探知犬について(導入、訓練、その後)
A:探知犬は海外で訓練を受けた犬を導入している。主にオーストラリア、アメリカ、台湾である。一部で国内でも訓練(外部委託)しているが主は海外から。また、日本では繁殖は行っていない。探知犬は3~4ヶ月の訓練を受け、2歳頃に導入されている。導入後はハンドラーと相性をみながら慣らしていく。探知犬としての活動は9歳頃まで行われ、引退後は里親(主にハンドラー)に飼われている。探知犬の殆どは1頭につき1人のハンドラーである。(複数のハンドラー対応犬もいる)
その他
当日午後からの禁止持込の回収状況を確認したところ、肉製品はドイツ製の大きなサラミが2本、他は植物系であった。植物系の回収内容は確認できなかったが、回収量は70Lほどのゴミ箱の容器で2~3個分入っているとのことでした。(食材が多い)
要請書の提出 |
動物及び畜産物の検疫業務を通じて水際防疫の徹底にご尽力頂いている検疫所の皆さに対する御礼と今後とも引き続き、水際防疫の徹底をお願いする要望書を鎌川支長に提出しました。
青柳ナイスポーク会長から要望書を提出
広報キャンペーン |
午後4時前から出発ロビーにて日本に戻る際の持込禁止畜産物の注意喚起として、広報ティッシュを配布しながら声かけのキャンペーンを行いました。会場には生産者と動物検疫所成田支所、鎌川支所長をはじめ多くの職員、動物検疫所の公式キャラクターである「クンくん」及び植物防疫所の公式キャラクターの「ぴーきゅん」、そしてナイスポーク着ぐるみ2体が参加し、参加者はオリジナルTシャツを着用し海外からの肉製品の持ち込み禁止をお願いするなど声掛けを行ないました。このようなキャンペーンは機会あるごとに生産者組織も協力して行きたい活動と考えます。
植物防疫のマスコットと探知犬「クンクン」と共に国内侵入阻止
出発ロビーでのキャンペーン「日本への肉製品持ち込み禁止」
ナイスポークが持参し活躍した着ぐるみ「ちばちゃん・ナイス君」
着ぐるみでのキャンペーンは効果絶大・暑い中「お疲れ様でした」