第34回養豚振興プロジェクト委員会 『 豚肉生産の現況報告から消費者との相互理解と安定供給 』

2019年10月、富里市農協会館での開催以降、コロナ感染の影響から消費者との意見交換会開催ができませんでしたが、5年ぶりとなる意見交換会が千葉市内ホテルププラザ菜の花において千葉県消費者団体連絡協議会(会長:和田三千代)を招き開催されました。会議には、、我孫子市、柏市、習志野市、四街道市の各消費者組織の会長、副会長10名の皆さんと、主催者側からアドバイザー3名、プロジェクト委員会委員14名他事務局含め総計19名により第34回目となる委員会議が開催されました。

ホテル特別会議室で対面により開催

菅谷 知男 プロジェクト委員会会長

開催に際し、養豚振興プロジェクト委員会菅谷会長から「本日消費者の皆さんとの情報交換会が開催出来ること、心から御礼申し上げます。アメリカでは賃金が高く、アメリカの最大手の屠畜場を維持することが出来ないと言われています。日本でも飼料の高騰、電気代の値上げと生産費の高騰部分を製品に価格転嫁することが出来ません。なかなか経営が出来る環境ではありませんが、今日は消費者の皆さんからお知恵を拝借したいと思います。硬い話もありますが、よろしくお願い致します」と挨拶。

現 況 報 告

(1)千葉県農林水産部畜産課≪企画経営室山﨑室長・生産振興班有路班長≫

①本県畜産の概要:千葉県は全国有数の畜産県であり、豚の飼養頭数は全国5位。産出額(令和4年)は467億円と全国第5位で本県畜産産出額の38.1%を占める。②食肉の消費動向:全国統計では、令和4年度牛肉・豚肉・鶏肉の合計1人当たりの消費量は33.9㎏/年と過去最高となっている。③良質な豚肉生産のための取組:飼養管理や飼育環境の改善、健康状態の維持・適切な飼料の供給として栄養バランスの取れた飼料の給与・遺伝子改良と選抜:遺伝子の改良による生産性、肉質の向上・衛生対策:健康チェックと疾病予防ワクチンによる管理・環境配慮:豚舎環境、福祉に対する配慮(スペース・適切な温度と湿度)によるストレス軽減  ④豚熱発生の経緯とアフリカ豚熱防疫対策:豚熱発生状況、ワクチン接種、野生イノシシ対策、近隣国のアフリカ豚熱の発生状況と日本の水際対策・⑤共進会による豚の改良(肉質):脂肪酸測定による食味の予測

畜産課:  山﨑室長、有路班長

 

(2)全農千葉県本部≪畜産部 都築部長≫

① 配合飼料価格の高騰の状況:配合飼料価格安定制度の補てん状況(飼料原料価格・海上運賃・外国為替)② 養豚経営安定基金制度(豚マルキン)③ 堆肥の利活用と耕畜連携 ④アニマルウエルフェアーへの対応 ⑤ 養豚経営が持続できる販売適正価格への理解醸成

全農千葉県本部都築畜産部長

(3)(株)千葉県食肉公社≪若松常務取締約≫

① 畜産生産地において食肉センターの果たしている役割

(株)千葉県食肉公社若松常務取締役

(4)ナイスポークチバ推進協議会

① 千葉県産豚肉の消費拡大活動・イベントへの出店・展示と消費者交流、サポーター会員 制度、②家畜防疫・ASF水際対策:成田空港防疫キャンペーンへの参加協力。

≪意見交換会≫

○ 生産者・関係者の発言  ❉ 消費者団体からの発言

1.堆肥の処理について

❉ 養豚生産者が処理する堆肥について一般の人達との繋がりは

○ 千葉県の北部では、畜産の密集地帯であり、堆肥は肥料として耕種農家への利用を推進している。県のHPで利活用について情報を発信している。ナイスポークでは、環境部会の中で臭い及び堆肥処理について協議をしている。農場周辺の美化、耕種農家の堆肥利用(循環)を推進している。一般の方々も利用をお願いしたい。

2.県産豚肉の販売・購入について

○ 店頭で豚肉が高くなっていると感じますか。

❉ 輸入豚肉(米国)は肉色が良いが、食べると国産の方が美味しい。千葉県産として表示されて販売されている豚肉はあまり見かけない。

○ 大手では販売時に色々な肉(生産県)を処理するので千葉県産との表示ができない。部分肉流通が主体で、部位により千葉県産として販売しているケースもある。スーパーの販売の仕方で表示も異なる。東京、神奈川では千葉県産豚肉の注文が多い。銘柄豚肉は生産県を表示し販売されている

❉ 私の地域では千葉県産の販売はない。生協を利用している。

印場食肉センター 吉田本部長

3.豚の病気への関心はありますか

❉ 空港で外国からの肉製品の持ち込みをさせない(水際対策)対応は良く理解できました。

○ 私達生産者が一番危惧しているのが豚の病気である豚熱です。鳥インフルについては、 ニュース等で知っていると思います。豚熱は以前「豚コレラ」という名前で呼ばれ、26年前に清浄化し、再度侵入を許してしまいました。生産者として豚熱が入ってしまうと飼育している豚を全頭刹処分しなければならない。従業員の生活もあり、経営の再開も難しい。また今、ロシア、中国、韓国、東南アジアで感染が拡大しているアフリカ豚熱の侵入の脅威にあります。韓国の釜山周辺でも発生があり、釜山と日本(九州)はフェリーの行き来があり、日本の車両は韓国内では 自由に通行できる、日本へウイルスの侵入が危惧されている。アジア方面への旅行の際は、肉製品を日本への持ち込まないよう情報発信してほしい。

4.県産豚肉販売情報が欲しい

❉ 今日県庁の食堂でカツカレーを食べました。肉は軟らかく大変美味しく食べましたがどこの豚肉かは表示されていませんでした。千葉県産豚肉の美味しさと皆さんおご苦労は良く知っています。千葉県産豚肉がどこで販売されているのか情報が欲しい。日頃国産を買うようにしている。近隣のスーパーでは色々な県で生産した豚肉が販売されている。千葉県産のお肉は手に入りづらい。 千葉県産の豚肉が買えない状況は大きな問題です。お店には千葉県産を是非置いてと要望してほしい

○ 千葉県産の豚肉がなかなか買えないとの声をよく聞く。千葉県知事との懇談の中で、オール千葉のブランドでやってみてはとの意見が出された。

○ 千葉県ブランドとして「チーバくん」のシールをパックに貼って表示をするよう以前から県にお願いしている。消費者の皆さんには自国で生産した物を食べてもらうことが重要です。 ヨーロッパ(英国・フランス・ドイツ)では自国の生産物には国旗のシールを貼っている。国民に自国の生産物の消費を促進するために表示している。

○ 第一次産業(農業)では、一部門だけが残ると言うことはない。畜産・農業は循環して物を生産している。作り人がいなくなる、農業人口が減少するのが一番怖い。野菜も畜産物も国産、千葉県産を消費して欲しい。

○ 千葉県では銘柄主体で商標「チバザポーク」との表示で販売しているのでHPで検索すれば販売店も判ると思う。

県畜産協会富田専務理事

5.食料・農業・農村基本法の改正

○ 日本の人口の約4割程度しか国産食料で賄うことができていない。世界の人口増加、人々が食べるタンパク質(動物性)はそれぞれの国で輸入量を確保していかなければならない。 近い将来、買うことができない時代が来ることが心配されている。日本の国民が食べる食料   は、農業として生産し確保する必要がある。消費者の皆さんには食料自給率について真剣に考えて頂ければと思う。

JPPA   塩澤会長代行

消費者の皆さんの意見を聞く生産者

6.美味しい豚肉とは

○ どのような豚肉を望みますか。価格の安さ、安全性、美味しさですか。

❉ 私は年金生活者です。人生長くないので価格は関係なく美味しいものを食べたい。白子産のタマネギをスライスして豚肉と一緒に食べると美味しいです。スーパーで生産者が表示されている顔の見える野菜(多少価格は高い)が販売されています。イトーヨーカ堂にパック販売ではなく量り売り(対面販売)のコーナーがあります。このようなコーナーは必要ではないでしょうか。銘柄豚肉「いも豚」について知りたい。

○ 仕上げの飼料に30%サツマイモを配合している。米豚は飼料米を25%くらい配合している。サツマイモ、お米を飼料に配合することで脂肪の質に良い影響(美味しさ)が出る。 豚肉では、色々な微量要素を飼料に配合して特徴を出している。豚の健康を保つ効果が期待できると同時に、健康に育った豚肉は肉質が軟らかい。

(株)堀江ファーム 堀江社長

 

7.飼料自給率は

飼料自給率ですが、豚の場合は6%程度。多くを飼料原料として輸入されている。国産飼料の生産により自給率を高める取組みが始まっており、どの程度生産できるか判りませんが、堆肥の利活用と合わせ耕畜連携を進めている。

8.消費者の方々へ

全農作成のポスターを説明する都築畜産部長

私達は笑顔で食べているのに農家さんが泣いていたらいやだなぁ

毎日食べている新鮮でおいしい食べもの世の中のあらゆるものが値上がりしている中、農畜産物がそこまで値上がりしていなかったのは、農家さんが我慢しているから、だったんですね。

私達が食べて笑顔になるだけでなく、それを届けてくれる農家さんも笑顔でいてほしい。安全・安心でおいしいものを作り続けてもらうために私達ができることは、国産のものを選ぶことくらいかも知れないけどこれからも変らずおいしくたくさん食べることで、農家さんをお応援したい。

それが、子供たちの未来に国産の食べものをつなぐことなる。

そう信じています。国産を食べる喜びをこれからも

収穫をよろこべないこんな悲しい仕事はありますか。

いま、様々な世界情勢の影響でかってないほど、高騰している農畜産物の生産コスト

それが、価格にしっかり反映できていないことをしっていますか?

みなさまの食卓に安全・安心でおいしい食べものを届けたいその一心でこれまでやってきましたが、もう限界です。これからも収穫や生産のよろこびを感じたい。

日本の食を支えるという誇りを胸にこの仕事を続けていきたい。

これから先も国産の農畜産物が食べられる日本であるために、どうかこれからも持続可能な農業経営ができるよう生産コストに見合った農畜産物価格を認めてください。

そして私達が愛情をかけて作ったものを食べることで日本の農家を応援して下さい。

国産を食べるよろこびをこれからも・・・

❉ 将来の若い人達が継続して千葉県産豚肉、野菜を食べられるよう生産をお願いしたい。

○ ナイスポークの活動で消費拡大は大きな活動です。マリンスタジアムでのPR活動として従来鉄板を使用した焼き肉販売が球団の許可が出ない。許可を得るためにはキッチンカー対応が必要。JPPAでも昨年有楽町駅前広場で「俺たちの豚肉くってくれ」との消費活動を実施しました。今後よりしっかり活動をしていきたい

 9.意見交換会の感想

❉ 千葉県産豚肉の良さをPR.[チーバくん]シールによる販売促進は良いアイデアと思う

❉ 子供たちに良いものを食べさせたい。お健康にお肉の良さを情報発信して欲しい。

○ 豚肉の生産地域は成田から銚子方面で、消費者の多い地域には産地がありませんのでしっかり消費者の方々にPRしていきたい。これがナイスポークの役目であると思う。

○ 養豚プロジェクトとして年1回の消費者との情報交換会ですが、このような取り組みは千葉県くらいではないかと思います。これからも千葉の養豚を守っていきますので応援よろしくお願いいたします。

参加者による記念撮影